改訂版天女座物語3
〜毎日新聞のコラムより〜


漁師の森下さんは、素潜り二五メートルでサザエやアワビ、
を採って一家を支えている。
一度、一緒に潜りに行ったが、あまりの速さについていけず、
タカノハダイを採る所を見ようと思っていたのに、あっと気が
つくと腰に四匹もぶら下げて、海底深く潜っていく。あたふた
と泳いでいる私達を見て「これだから素人と潜るのは嫌や。」
その森下さんが、深海四〇メートルに生息するウツボをしゃぶ
しゃぶにするアイディアを思いつき、早速ご馳走になった。
ウツボといえば、獰猛で骨が多いイメージがあり、臭くて
とても食べられたものではないと思っていたのだが、鍋に
入れてしばらくして、口にするとふんわりと柔らかく、
臭いもなく、絶品!
何でもモンドリというウナギを採る細長い籠を海中深く
沈めておいて漁をするという。
「これ、天女座で出したい!」
森下さんは、あちこちに売り込みにいったのだが、ウツボは
イメージが悪くどこも取り扱ってくれなかったそうだ。
「ウツボ鍋ってイメージ悪いよね?はごろも鍋は、どう?」
昨年秋から、はごろも鍋デビュー。初めにウツボのから揚げ、
天ぷら、薄く切り身にしたウツボをシャブシャブで、仕上がりは、
雑炊。森下さんは、薪でご飯を炊いているこだわりの人で雑炊の
スープもウツボのアラを薪で二時間炊いたものを使用。宣伝は
していないが、口コミで広がり十人以上の場合は、生演奏も
しているのが好評で最近は、団体さんが多い。ウツボを採ったら
すぐに、大量の塩でしめて、骨抜きをして冷凍にする。
そうすることでゼラチンが寝かされて独特の旨みが出るという。
冷凍されたウツボを薄く切り、皿に野菜と一緒に盛り付ける。
ウツボは、毒消しや、妊婦のお乳の出にも有効、コラーゲンが
美容にも良いとか。海の厄介物ウツボが、美味しく頂けるのは、
びっくり!熊野の海のターザン、森下さんのこだわりに拍手!