改訂版天女座物語9
〜毎日新聞のコラムより〜

天女座のカフェには40年前の足踏みオルガンが置いてある。
子供さんが来たら、「ぞうさん」を弾いたり、大人の人なら
「ふるさと」や「海」などを弾く。
現代っ子は足踏みオルガンを珍しそうに見ているし、大人達は、
童謡を口づさむ。以前、飛鳥の足踏みオルガンをお借りしていたが、1年経って返却したのでメールを全国に送ってオルガンを募集したら友人がインターネットオークションで2台落としてくれた。
1台は、仙台から、もう1台は宮崎から。

昔は、たくさんあったオルガンだが、処分されて捨てられた物も多いと聞く。昔は、小学校でたくさんの子供達がこのオルガンで音楽の時間に大きな口を開けて歌ったことだろう。

もう1種類ピアノの原型でもあるチェンバロが置いてあり、バロックの即興をしている。チェンバロ欲しい!と念じていたら広島の方から電話があり、亡くなった主人の形見なので弾ける人にあげたいと広島からお布団にくるんで持ってきて下さった。「20年前に70万で主人が買ったの。
お店のディスプレイにしていたけど誰も弾けなかったし、今度は弾ける人にあげようと思って。」

杉村さんはご主人のことを思い出し涙ぐんだ。
チェンバロは、黒鍵と白鍵の色がピアノと反対でピアノと違って
一弦をひっかけて音を出すために独特のマカデミアナッツを食べたときのようなカリコリ音が出る。昔はバッハも練習したが今ではもっぱら思いつくままに即興。
カフェでは、いきなりウエイトレスの私が楽器を弾き始めるので
びっくりするお客さんも演奏が終わると拍手をして
「今日は、来てよかったわ!」と満面の笑み。

もう1台1923年のピアネットという子供用のグランドピアノを持っているだが、修理中。蔵の扉を探しているときに偶然に手に入れた。おもちゃではない精巧なピアノ。当時ピアノを弾けるのは大財閥の令嬢だけ。父も生まれていなかった遠い昔のノスタルジア。